(Dave談)
1.ジャイアン・リサイタルな大学サークル時代
皆さんはバンド関係者ですか?
それとも、オーディエンスの方ですか?
少なくともここDEEP UNDERWATERのHPを訪問してくださった方であれば、
何れかの形でライブハウスというものに来られたことがあるはずです。
ライブは勿論愉しいものですが、
しかし出演者としては楽しいばかりではないのもライブ。
かつて、某D大学の軽音楽サークルに所属していた頃は、
例えばサークル主催の演奏会だったり、
あるいはどこかのライブハウスに出していただくにしても
組織票ならぬ組織の動員力がありますから、
まあなんとなくそれなりには見えるものでした。
しかし、これは言わばジャイアン・ソロ・リサイタルみたいなもの。
さして観たい訳でもないでしょうが、
義理で毎回何人かは来てくれるでしょうし、
いわゆる「お約束」でなんとなく乗った風には演じてくれます。
2.観客3人
僕が本当の厳しさを実感したのは大学を卒業してから、
社会人4年目くらいでKAMPFERというスラッシュメタルのオリジナルバンドを
結成してからですね。
社会人4年目ともなると、
もはや大学の後輩も全て卒業して各地に散らばってしまっていますし、
かつて在学中に何度かお世話になったライブハウスとのコネクションも
すっかり消滅しています。
加えて僕自身が当時は千葉県は浦安に住んでいて、
DrのLrzが名古屋、BaのJinが西宮というバッラバラな状態でして、
地元もなにもあったもんじゃない。
そこでKAMPFERが一番最初に出演させてもらったのが
高槻だったか茨木だったかにある小さなライブハウスでしてね、
なんとこのときのオーディエンスはたった3人っ!!
冗談みたいでしょ、
でもほんまやったんですよ、
それじゃあメンバー(4人)の方が多いやん…。
忘れもしないですね、
あのときの敗北感とステージでの焦りというか、
落ち着かなさね。
何より、恥ずかしかったんですよ。
だからギター・ヴォーカルで一人フロントを張っていた僕は、
そのプレッシャーに耐えかねて早く終わらせたかった。
それでいつもに増して走りまくりで…
それはそれは酷いパフォーマンスだっただろうと思います。
3.ナンパ・マニュアルに学ぶ(1)ナンパは「慣れ」だ!
しかし、後にも書きますが、
失敗ライブほど学べるものもなかなか無いんですね。
あの時、初めて大学のサークル時代のは
「ジャイアン・リサイタル」だったことに気がつき、
一回生の気持ちで頑張っていかないといけないんだと悟ったんです。
初めから卓越したセンスがあるとかなら別なのでしょうが、
僕らのようにセンスも無ければテクも無い、
知識も経験もコネも何も無いような連中は、
まずは数をこなして慣れるしかないんだと考えました。
何事もそうです、
高校時代に買って多いに役に立った
「ナンパ・マニュアル」にも書いてありましたもん。
「最初から巧くいくやつはまずいない。
だから失敗を覚悟で何度も繰り返し、慣れるんだ」
実際、僕は高校3年生くらいのときでしたかね、
これを実践しました。
長期休暇で千葉の実家に帰った際に、
誰も知り合いのいない新宿とか渋谷とかで声をかけるのね。
最初は道を訊くんです、
知ってるのに「紀伊国屋書店はどこですか」とか
「代々木ゼミナールってどっちの方向ですか」とかね
(※僕は代々木本校に通っていた)。
とにかく1日5人に声をかけようと心に決めて、
予備校の帰りとかに声かけしてました(笑)
でもね、これが実際にworkするんですよ。
気がつけば代ゼミのクラスで美人な女の子(※慶應に進学)と
友達になってデートするようになったり、
随分と良家のお嬢さまっぽい女の子
(※おとなし系大好き。彼女は御茶ノ水へ進学)とマクド行ってみたり。
そうしてコツを掴めばあとは簡単ですよね、
勿論それでも毎回成功するなんてことは
よほどのイケメンでもない限りありえませんが、
しかしあとは純粋に確率論です。
一定数声をかければ必ず成功するようにはなります。
4.ナンパ・マニュアルに学ぶ(2)ライブも「慣れ」ろ!
あ、激しく脱線しましたね(笑)
そうそう、ライブの話ね。
うっかり自分のMixi日記のように熱く書いてしまいました。
要するに、まずは場馴れだと考えた僕は、
とにかく観客動員の当ても無いのにどんどんとライブスケジュールを
入れていったのです。
そうは言っても全員社会人でしたから、
せいぜい月に1回のペースではありましたが、
それでも半年後には5回のライブを経験することになります。
イロイロ出していただきましたね、
心斎橋のサンホールさんとか、
難波ロケッツさん、
変わったところではエキスポランドの野外ステージだとか、
早稲田大学の学祭にも出していただきました。
やっぱりですね、慣れるんですよ。
相変わらず下手っぴですし、
ステージングもしょぼいのは変わらないんですが、
やっぱりオドオドしなくなりますし、
演奏自体は恥ずかしいものに違いないのですが、
少なくとも観客にまで恥ずかしい思いをさせずに
済むようになるというかね。
ステージで演奏者がもじもじ恥ずかしそうにしていると、
見ているほうも恥ずかしくなってくるでしょ?
それじゃあ金払ってもらったお客さんに、
余りにも気の毒じゃないですか。
ただでさえ酷いもの見せられて損してるのに、
更に恥ずかしい思いまで共有させるなんてね(笑)
5.誰よりも大切な一人
一つだけ僕が肝に銘じているのは、
例えお客さんが一人であったとしても、
その方がわざわざ貴重な時間を割いて見てくださっているのであれば、
精一杯やろうと。
上で書いた観客3人のnightmareのとき、
僕は正直早く終わりたかった。
しかし、考えてみればそれはわざわざその寒い空気を
共有してくれた3人に対して、
なんと失礼なことをしたものかと思います。
そりゃあお客さんが多いに越したことはないし、
観客が多ければ誰だって乗れるんです。
KAMPFERは最後、たまたまラッキーが重なって
韓国・ソウルで満員の箱でやらせていただいた
(※飽くまで前座で、実力ではない)んですが、
そりゃあいいステージが出来ますよ。
何をやったって大概お客さんは受け入れてくれるし、
なにより自分の一挙手一投足を注目してくれるなんて
気持ちがいいですから、
そりゃあ気持ちも入るってもんです。
でもね、大切なのは例え一人のお客さんであったとしても、
礼を尽くすことだと思うんです。
たった一人しかお客さんがいないときにも、
同じテンションで演れることこそ実力なんじゃないかなって、
僕は現在そのように考えています。
むしろ、ゼロじゃなくて一人でもいてくれるって考えてみれば、
とてもありがたいことでして。